撮影による経済効果 各地増加傾向

レポート

テレビや映画の撮影場所に指定されることで、出演者やスタッフが宿泊滞在することで、経済活動が活発になる。その後撮影された映画などが公開され、ロケ地として観光客が訪れる効果も期待出来る。現在日本各地で「撮影」を招致するフィルム・コミッションの活動が活発になってる。
コロナ禍でも「撮影」は再開されつつあり、海外ロケが出来ないぶん、国内への需要は維持している様子だ。

【茨城県】
茨城県によると映像作品を誘致するフィルムコミッション(FC)が中心となってロケを支援した作品数は2002年度以降の17年間で累計7000作品を超えた。経済波及効果は推計で82億2000万円。県は市町村と連携した支援が実を結んだとみている。
国内トップ級なのは間違いない。ロケ隊による宿泊費や弁当代の経済効果に加え、県民エキストラが地元の魅力を確認できるよさもある。
「東京に近く、山や田んぼなど日本の原風景が多い」ほか「県のFCが親身になって丁寧に対応してくれる」と指摘する。多くの市町村にもFCがあり「連携して制作会社の希望に合うロケ地を提案できる」(FC推進室の間弓弘幸室長)のも強みだ。

【栃木県】
栃木県足利市で映画やドラマ、音楽ビデオなどの撮影が盛んになっている。このほど東京・渋谷のスクランブル交差点を再現するオープンセットの造成が決定した。足利市が「映像のまち構想」の一環で、宿泊費や食費など市への直接的経済効果は2018年度が8200万円。2015年度から5割増加した。2018年度には今年の大河ドラマ「いだてん」のほか、アイドルグループ「嵐」や「乃木坂46」のミュージックビデオも撮影された。
栃木県でも撮影隊の宿泊代や弁当代といった直接的経済効果は2016年度が1億4082万円と、27%増加した。撮影が長期にわたる作品や大型のセットを組む作品が例年より多く、準備期間を含めて撮影隊の滞在時間が長くなったことが背景にある。

【静岡県】
静岡県内に、映画やドラマなど年間百数十本の撮影を受け入れている自治体がある。
小山町フィルムコミッションによると、02~17年度に累計1795本のロケが町内であった。テレビドラマ「相棒」シリーズや映画「永遠の0」などヒット作も多い。17年度は137本で、ロケ日数は延べ295間にのぼる。経済効果も大きく、17年度だけで8000万円以上が町内で使われたという。

【新潟県】
新潟県長岡市の長岡フィルムコミッションは2016年度、29件のロケを支援し、撮影隊の飲食・宿泊など地元への直接的な経済効果は2600万円だった。2008年の設立後、映画「64 ロクヨン」「ビリギャル」などが同市で撮影。

【福岡県】
北九州市は、フィルムコミッション(FC)の活動実績が2016年度に過去最多の35本だったと発表。映画「相棒」シリーズの長期ロケなどで撮影隊の滞在や市民エキストラの参加による経済波及効果も、推計6億6015万円となり過去最高となった。

【長野県】
県内各地のFCなどをまとめる信州フィルムコミッションネットワーク(SFN)によると、2016年のSFN会員への映画ロケ地照会件数は202件。2015年の185件、2014年の174件から増え続けている。SFN設立から5年がたってFC間でロケ地を紹介しあう体制が整い、業界での評価が上がっていることなどが理由とみられる。
サスペンス映画「疾風ロンド」が野沢温泉村で大半を撮ったほか、今年もアクション時代劇「忍びの国」など、県内が主要な撮影地になる例が多い。3週間のロケの間にかかるスタッフの宿泊費など、地元への直接経済効果は4000万円に上るという。

【長野県】
諏訪周辺で実施されたNHK大河ドラマ「軍師 官兵衛」のロケによる県内の直接経済効果は約2800万円だった。2016年の大河ドラマの題材が上田市にゆかりのある真田幸村に決まったこともあり、ドラマロケによる県内の経済効果は今後さらに拡大する見込みだ。大河ドラマの撮影スタッフの数は100前後と、民放ドラマの2倍程度だという。大河ドラマは殺陣のシーンが多いため「エキストラも(殺陣シーンの)経験者が東京から来る。宿泊費が膨らむので経済効果は2倍以上」と話す。

2021年4月12日

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