強制貯蓄 コト消費に45%回れば 経済効果20兆円

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日本銀行が2021年4月の展望レポートのコラムにおいて、本来あるべき家計消費のうち、感染症下での「消費機会の逸失」により抑制されている部分を「強制貯蓄」と呼び、昨年1年間の累計で20兆円程度あると試算した。

「強制貯蓄」とは、コロナ禍において外出や国境・県境を跨ぐ移動の減少など、感染症のため本来の消費機会を逃したことなどによって、可処分所得のうち半ば強制的に貯蓄に向かった部分を指す。

この20 兆円程度(特別定額給付金から貯蓄に回った部分を除く)と、可処分所得の約7%にも及ぶ、かなり大規模なものとなる。ここでは、感染症による消費機会の逸失が発生しなければ実現していたと考えられる個人消費の水準を、可処分所得に感染症流行前の平均消費性向(2015~2019 年平均)を乗じることで求め、この「本来の消費水準」から実際の消費水準を差し引いたものを、便宜的に「強制貯蓄」とみなしている。その大半は、感染症による制約が最も大きかったサービス消費を抑制することで積み上がっている。当面、感染症への警戒感が続く間は、従来ほどのペースではないが、消費機会の逸失に伴う「強制貯蓄」はさらに積み上がっていくとみられる。

ワクチン摂取が進み、感染症懸念が落ち着きを取り戻すと、強制貯蓄の20兆円が取り崩されて市場に戻ってくると考えられる。一部は貯蓄として残るものの、行動制限から開放されれば、従来より高額な旅行や、飲食に消費が向かう可能性も、余暇や娯楽に向かう可能性もある。

経済効果NETでは、強制貯蓄の45%(9兆円)がコト消費(「体験」にお金を使う消費行為のことで、特に非日常的(アクティブ)な体験が伴う経済活動を指し、旅行、外食、テーマパーク、ヨガやジム、など)に向かうと仮定した場合の経済効果を算出した。コト消費の場合、原価は人件費と設備・施設の減価償却分が多いため、波及効果が大きくなるため、20兆7000億円という計算結果になった。一次波及効果が7兆1764億円で、二次波及効果が4兆6521億円、消費者が出費する9兆円と合わせると20兆7000億円となる。

もし強制貯蓄が、消費されず貯蓄のまま残ると、経済格差は拡がり、日本の景気再起動が起きずに停滞が続くことになる。新政権にはGoToキャンペーンの拡大版を実施して欲しいものだ。

日本銀行2021年4月の展望レポート(PDFファイル)

2021/10/14

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