コロナ禍で糖尿病患者への影響 経済損失35億以上(イタリア)

新型コロナウイルス関連

コロナ禍で糖尿病患者への影響 経済損失35億以上(イタリア)

Enrico Torre氏らの研究グループは、2020年にイタリア国内で実施されたロックダウンにより、糖尿病の患者が医療機関へ行くための手続きが増加し、結果的に通院の回数が減少したデータを示し、コロナ前と比較して糖尿病患者の死亡率は2倍になったと報告した。その結果イタリアのナショナル・ヘルス・サービスは2,660万ユーロ(およそ35億2450万円)負担が増加したと結論づけた。
イタリアでは、2020年3月9日から5月18日まで10週間1回目のロックダウンが行われ、2回目は11月6日から12月3日まで、3回目は首都ローマや北部ミラノなど、国内の主要都市を含む過半数の州や地域で、3月15日から4月25日までと、度重なる外出禁止が実施されてきた。

糖尿病はその症状により、革新的な薬を投与することが出来、投薬量が減少するために、医療費が安価になる。ロックダウン中でも病人は通院することが許可されるが、患者が病院へ行くのを避け、自宅から出なくなった。通院回数の減少は、消費された糖尿病薬品が前年比14%減少したことに現れている。その傾向はロックダウン時期以外にも及び、悲劇的な結果につながった。

政府はコロナウイルスによる死亡者数が多かったため、コロナウイルスの感染拡大防止に集中したが、その影響で命を失った人も存在することを理解していない。ロックダウンは経済的なダメージ以外にも、広範囲に人々を苦しめる結果になった。今後未知のウイルスが出現した場合、ロックダウン以外の方法を考え出しておく必要がある。

論文(英文PDF)
”Economic Impact of COVID-19 Lockdown on Italian NHS: Focus on Diabetes Mellitus”  Torre E, Colombo GL, Di Matteo S, Martinotti C, Valentino MC, Rebora A, Cecoli F, Monti E, Galimberti M, Di Bartolo P, Gaggioli G, Bruno GM
2021,ClinicoEconomics and Outcomes Research、Volume-13

2021/6/17
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