非公式な経済活動、途上国ではGDPの30%

政策/経済

非公式な経済活動、コロナで危機的状況か
世界銀行が2021/5/11に発表した記事によると、途上国に於ける露店や、非合法タクシーなど、政府が経済活動として把握していない上、納税もしていない「非公式な経済活動」が、途上国ではGDPの30%達した。

個人事業による小口のものから、組織化された麻薬の様なものまで様々だが、先進国でも料理の宅配サービスなどオンラインで単発の仕事を請け負うギグワーカー(注1)が増加している。途上国では深刻で労働者の70%が、非公式な経済活動で生計を立てていると、世界銀行は推計した。問題は、この人達が社会保障に組み込まれていないこと。納税をしていないため、健康保険や雇用保険などの制度への加入も無い。
日本では「インターネットを通じて単発の仕事を請け負う人」、その代表としてUber Eatsの配達員を指し、副業として行っている例も多い。社会保証を受けられない立場にはいないようだ。しかし納税をしていない可能性はある。

1990年から2018年の間は、この非公式な経済活動は減少傾向にあった。途上国ではマイクロファイナンスなどが活発に行われ、企業に雇用されなくても、自営業者として納税し、公共サービスを享受出来る働き方が増えてきていた。しかし新型コロナウイルスの感染拡大による、ロックダウン政策などが実施された場合、彼らには支援金は届かない。政府から何の支援も受けられない上に、ビジネスも難しい、発熱しても保険が無いので病院に行けない、という苦境に立たされている可能性がある。

2018年の統計では、途上国でGDPの30%。先進国でもGDPの17.4%を占めていることがわかった。非公式な経済活動の比率が高い途上国は、政府財政が脆弱で、自然災害などの危機に見舞われた場合に、破綻する可能性もある。
コロナが彼らにどのような影響を与えているのか、正確な実情はまだ分からない。ただ世界中で拡がるギグワーカーの危険性が鮮明になったことは間違いない。

(注1)GIG WORKER(音楽領域の英語で、ライブハウスでの短い演奏セッションやクラブでの一度限りの演奏を意味するスラング「ギグ(gig)」に由来する)

世界銀行レポート(英語)

2021/5/24
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