RCEP協定 2022年1月1日より発効 経済効果は年間15兆円

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日本、オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、中国、ラオス、ニュージーランド、シンガポール、タイ、ベトナムの10か国について、2022年1月1日に発効する、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定。域内の2019年の人口は約22.7億人、GDPは25.8兆ドルで、世界の約3割を占めている。91%の関税が撤廃されることによって、多くの企業が生産拠点を置くアジアからの輸入コストが軽減される。

衣料品など、人件費が日本と比較して安価な、中国、ベトナム、カンボジア、ラオスなどの工場で生産し、日本で販売するビジネスモデルを取り入れている企業は多い。カジュアルウエアのGUが公表している工場は84あるが、中国46、ベトナム8、タイ5、日本6などRCEP協定に参加している国からの、製品への関税が無くなり、今まで以上に低価格になる可能性がある。

令和3年3月19日に外務省、税務省、農林水産省、経済産業省がまとめた経済効果分析によると、試算を実施した。その結果、我が国の実質GDPは、RCEP協定がない場合に比べて、相当の調整期間を経て最終的には約2.7%押し上げられることが示された。これを2019年度の実質GDP水準で換算すると、約15兆円に相当する。なお、試算されたGDPの押し上げは生産力の拡大を伴う恒久的な需給両面の増加であり、一時的な需要喚起によるものではない。
と発表した。

この15兆円の経済効果をもたらす要因は、主に3点あると書かれている。
①貿易生産性水準の上昇(参加国との貿易が増える)
②RCEP協定による生産性向上が賃金を上昇させる
③海外からの投資が増え、日本国内の資本ストック(設備の量)が増えること
GDPの押し上げ効果2.7%のうち1.8%が国民の消費額増加と見込んでいる。

国民の賃金は、2011年東日本大震災に見舞われた年に男女平均額295.7万円と落ち込みを見せ、その後2018年に306.2万円まで増加し、男女間格差も縮まって来ていた。コロナ禍でどの程度まで落ち込んでいるか、政府の発表はまだ無い。RCEP協定の効果は、コロナ禍で打撃を受けた、観光・飲食業界にダイレクトな効果を生む可能性はある。
政府の計算通り、賃金上昇による消費が活発になって欲しいものだ。

RCEP協定の経済効果分析(PDFファイル)
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定について(経済産業省WEBサイト)

2021/11/11
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