宮崎県で2024年9月7日・8日の2日間にわたって開催された、アイドルグループ・日向坂46による単独大型野外音楽フェスティバル「ひなたフェス2024」について、公益財団法人 九州経済調査協会が2024年12月19日に発表した推計によると、九州全体への経済波及効果は43.3億円に上ったと試算されている。地方都市での単発イベントとしては異例の規模となり、自治体・地元企業との連携による「地域密着型フェス」のモデルケースとして注目を集めた。
開催の概要
会場は「ひなた宮崎県総合運動公園」および「ひなたサンマリンスタジアム宮崎」で、ライブ参加者は2日間で計約4万人、周辺の無料エリアを含めると約5万6,000人が来場した。なお、同スタジアムが音楽ライブイベントで使用されたのは、本フェスが史上初である。日向坂46と宮崎県は、グループ改名直後の2019年にテレビ番組のロケで訪れて以来の縁があり、「日本のひなた」を掲げる宮崎県とグループ名「日向」のつながりから、デビュー5周年の節目に「宮崎への恩返し」として企画された経緯がある。
九州経済調査協会による試算 43.3億円
九州経済調査協会の推計では、九州全体への経済波及効果は43.3億円で、内訳は宮崎県内が32.7億円、九州他県が10.6億円とされる。調査は、開催当日の宮崎市ブースで実施した約1,000件のアンケートと、スマートフォン位置情報データ(おでかけウォッチャー)を組み合わせ、九州の産業連関表を用いて算出された。広域の人流データを用いて九州全域への波及まで網羅した点が特徴である。
宮崎大学による試算 約29億円
一方、宮崎大学 地域資源創成学部の土屋有准教授は、2024年10月24日に宮崎県内への経済波及効果を約29億円と発表した。来場者やスタッフを対象としたインターネットアンケート(約7,800件回答)を基に、宿泊費や飲食費など実際の消費行動に焦点を当てて算出している。九州経済調査協会の宮崎県内分(32.7億円)との差は、位置情報データ活用の有無や計算モデルの違いによるものとされる。いずれの調査でも、「来場者の大半が遠方から訪れ、宿泊(特に2泊以上)や観光を伴って宮崎県内外を広く周遊したことが、規格外の経済効果を生んだ」と評価されている。
地域密着型フェスとしての特徴
本フェスは、スタジアムでのライブだけでなく、運動公園全体を巻き込む「お祭り」として設計された点に最大の特徴がある。スタジアム周辺の運動公園内は誰でも入場無料で開放され、宮崎の地元グルメブースやメンバー考案のコラボメニューが並んだ。ライブ本編にも、宮崎を代表する「日向ひょっとこ夏祭り」「えれこっちゃみやざき」「海を渡る祭礼」の保存会や地元チアリーディングチームが登場し、地域と一体となったステージが展開された。
ライブ演出のハイライト
オープニングでは、メンバーの松田好花による和太鼓の打ち鳴らしを合図に、メンバー全員が浴衣姿で登場し、楽曲『日向坂』を盆踊りバージョンの特別振付で披露。屋外スタジアムが一気に夏祭りの雰囲気に包まれた。ダンスナンバー『ってか』ではウォーターキャノンによる大量放水演出が行われ、コール曲『HEY!OHISAMA!』ではサビの掛け声を「MIYAZAKI」に変更するなど、宮崎ならではのアレンジが随所に盛り込まれた。アンコール曲『JOYFUL LOVE』ではファンのペンライトによって客席全体に巨大な「虹」が架かり、フィナーレでは盛大な花火が夜空を彩った。さらに2日目終盤には、グループが長年目標としてきた「東京ドーム公演(2024年12月開催)」がサプライズ発表され、メンバー・ファンともに涙する感動のフィナーレとなった。
交通インフラと地方創生の観点
宮崎県は他県からの陸路アクセスに課題があり、当初は数万人規模の移動と宿泊受け入れを不安視する声もあった。しかし、交通機関による臨時便・シャトルバスの大増発と全国からのファンの大移動により、宿泊・飲食・交通・観光に幅広く消費が波及した。アイドルグループの単独フェスが地方創生の成功事例として位置づけられた点でも、本イベントは「伝説のフェス」と評されている。
【参考文献】
・公益財団法人 九州経済調査協会「ひなたフェス2024 経済波及効果推計」(2024年12月19日発表)
・宮崎大学 地域資源創成学部 土屋有 准教授「ひなたフェス2024 経済波及効果調査」(2024年10月24日発表)
・株式会社Agoop「おでかけウォッチャー」人流データ