2025年3月2日(日曜日)に開催された、東京マラソン2025の経済波及効果を、参加者のアンケート、オープンデータなど実測値から算出した結果787億2600万円、このうち東京都内での経済波及効果は562億3200万円となりました。
昨年の東京マラソン2024では、526億円でしたが、今年は大幅に金額が増加致しました。その要因として、外国籍ランナーの増加が挙げられます。昨年1万3500人でしたが、本年は1万7100人(94の国と地域)となりました。円安の影響を受け、訪日外国人観光客が増加していますが、同様の理由で増加したと推測されます。
それに加え、東京都産業労働局から発表された「国・地域別外国人旅行者行動特性調査(令和5年版)」より、外国籍ランナーの渡航費を計算に加えたことも、金額の増加に繋がりました。
日本国籍のランナーの消費特徴は、東京マラソンに参加する準備段階で1人平均7万円を投じていることです(参加者質問紙調査N=6364)。
滞在日数に関しては、日帰り66.2%、1泊17.3%、2泊12.3%、3泊以上3.1%となり、関連イベントである東京マラソンEXPO 2025、ファミリーラン、フレンドシップランなどへの参加がきっかけになったと考えられます。
東京都在住のランナーは39.0%、神奈川県12.6%、埼玉県8.9%、千葉県8.5%、愛知県3.1%、大阪府2.6%、北海道2.1%と全国から集まったことも、経済波及効果を押しあげました。
東京マラソンの特徴とも言える、同行者の多さも経済波及効果に大きな影響を与えました。本年は推定3万3300人(参加者質問紙調査N=6364)が、全国からランナーの応援に東京に集まりました。ランニングクラブ単位など10人以上でお越しになられる方、ご家族・ご親族みなさんが応援をきっかけに集まり、コロナ以来の親族食事会を計画される方など、東京マラソンへの参加が、人の繋がりを醸成している傾向も確認出来ました。
ボランティア総数は約10,000人となり、関東を中心に、中部、東北、近畿からも多くのご参加をいただき、大会の安全性の向上等に寄与していただきました。ボランティアの方は登録時に確認した居住地域から、交通費・宿泊費・飲食費などを「東京都観光データカタログ(2023)」を基に算出しました。
東京マラソン2025の経済波及効果は、事業総予算の13.5倍となり、1日のスポーツイベントとしては、突出した結果となりました。税収効果は東京に65億円。全国でみると95億円となり、開催のための費用を上回りました。
公共イベントとして、経済面ではとても優秀であり、日本各地で開催されているマラソン大会でも、応用可能な要素が多くありました。「東京マラソン」というイベントは、参加するランナーはもちろん、関わる人全員にとって特別かもしれません。少なくとも経済波及効果を増加させる「イベント」という視点で見ると、応用可能な事柄はいくつも存在しています。
計算責任者 経済効果.NET 主席研究員、東京都市大学非常勤講師 江頭満正
経済効果.NET 2025/04/18