2025年7月26日に開かれた第48回隅田川花火大会。約2万発の花火を目当てに、主催者発表で約93万人が隅田川沿岸を訪れた。経済効果.NETが東京都の観光統計などを基に計算したところ、東京都内に限定した経済波及効果は約289億円となった。1人当たりでは約1万9,700円。飲食や買い物だけでなく、宿泊を伴う観光客や訪日外国人旅行者の消費が、全体を大きく押し上げている。
●独自の消費単価ではなく東京都の統計を採用
計算に用いたのは、東京都の「2024年東京都観光客数等実態調査」や、東京都産業労働局観光部企画課が公開する「東京都観光データカタログ」などの公的資料だ。
経済効果.NETは、来場者が実際にいくら使ったかを一人ずつ調査したわけではない。ただ、計算者が独自に「花火客は1人○円使う」といった単価を設定することは原則避け、東京都が調査・公表している旅行者構成や平均支出額を採用した。
使用した旅行者の構成比は次の通り。
日帰り客率:87.7%
宿泊客率:12.3%
訪日外国人率:5.6%
1人当たりの消費額は、東京都観光データカタログに基づき、以下の金額を使った。
日帰り客:7,373円
宿泊客:5万3,180円(1泊)
訪日外国人:13万3,332円(2泊)
日帰り客と宿泊客の割合は合計で100%になる。一方、外国人率は居住地による別の分類である。このため計算では、来場者の5.6%を訪日外国人として分け、残る国内客を日帰り87.7%、宿泊12.3%に振り分けた。
●消費単価が上昇、統計変更の影響も
今回、来場者の消費額が従来の試算より全般に高くなった背景には、物価上昇だけでなく、参照する観光統計の変化がある。
東京都の観光統計では、旅行者の支出状況や宿泊日数などの調査結果が更新されている。特に宿泊客と訪日外国人は、ホテル代の上昇や滞在中の飲食・買い物などを反映し、日帰り客を大きく上回る消費単価となった。
したがって、今回の金額が前年からの実質的な売り上げ増加をそのまま表しているとは限らない。使用する統計の対象範囲や調査方法、宿泊日数が変われば、試算結果も変わる。過去の経済効果との比較には注意が必要だ。
●浅草、押上、蔵前、両国へ広がる消費
大会当日の消費は、会場周辺の屋台や飲食店にとどまらない。浅草、押上、東京スカイツリー、蔵前、両国などの周辺地域では、鉄道やバス、タクシーの利用が増える。コンビニエンスストアやスーパーでは飲料、総菜、氷、熱中症対策用品などが動く。浴衣の購入やレンタル、着付け、荷物預かりといった事前・関連消費も発生する。
宿泊客や訪日外国人の場合、花火大会を東京観光の一部として組み込み、浅草寺や東京スカイツリー、上野などを周遊する可能性も高い。消費は花火会場の周囲だけで完結せず、都内の宿泊、飲食、小売り、交通、観光施設へ波及する。
93万人が一夜に動くイベントの影響が、花火会場だけに収まらないことは確かだ。浅草や押上、蔵前、両国の商業・観光資源と結びつく隅田川花火大会は、江戸以来の文化行事であると同時に、東京の夏を支える大規模な観光経済イベントでもある。

出典 東京都「2024年(令和6年)東京都観光客数等実態調査」 東京都観光データカタログ「観光地点パラメータ調査」 東京都「第48回隅田川花火大会」実施計画 すみだ経済新聞「隅田川花火大会に93万人」 墨田区・2025年度一般会計歳出予算編成資料 台東区・2025年度一般会計予算 墨田区観光協会「ふるさと納税・特別観覧席」
