次世代放射光施設 仙台市内建設による経済効果1.9兆円

エネルギー/科学

東北経済連合会は2018年8月28日、仙台市内に建設される先端実験施設、放射光施設の経済効果が2022年度を想定する稼働後10年間で1兆9017億円に達するとの試算を発表した。

原子レベルで物質の構造や性質を見られる巨大な顕微鏡「次世代放射光施設」(軟X線向け高輝度3GeV級放射光源)の整備に向け、事業推進の核となる官民地域パートナーらによる連携体制が行われている。計画では、東北大学の青葉山新キャンパス(仙台市青葉区、約81ヘクタール)内に放射光施設(対象面積約9万2500㎡)を整備し、隣接エリアには約4ヘクタール規模のサイエンスパークを設ける。

高性能の放射光施設は、今や産業界の発展に欠かせない存在になっている。国内最大の放射光施設である「スプリング8」(兵庫県佐用町)を中心に、創薬や低燃費タイヤなどの開発で大きな役割を果たしてきた。しかし、軽元素など柔らかい物質を見るのに適した、エネルギーの低いX線「軟X線」クラスの施設は国内になく、各界で建設が望まれていた。

次世代放射光施設の概算整備費は約360億円(用地の確保・造成経費含む)。役割分担では、国が約170億円を投じて加速器(ライナック、蓄積リング、輸送系、制御・安全)を整備する。ビームラインは当初10本(約60億円)を国とパートナー側(最大7本、約40億円)で分担整備。基本建屋(約83億円)と研究準備交流棟(約25億円)の建設のほか、土地造成(約22億円)はパートナー側が行う。

東北経済連合会の向田吉広副会長は独自に調査した施設稼働後の経済波及効果として、革新的技術による新製品開発などで10年間で約1.9兆円、20年間では約3.9兆円の市場創出効果が見込まれると説明。「新たなイノベーション創出に不可欠な施設であり、世界最先端のものづくり拠点となるように全力で取り組む」と語った。

次世代放射光施設 ビームライン検討委員会報告書(PDF KB)

2018/8/30
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