米連邦政府機関の部分閉鎖による経済損失について、Congressional Budget Office(CBO)は以下のように見積もっています。
閉鎖が「今週中に終わる」なら約70億ドル、閉鎖が6週間続くと約110億ドル、8週間続くと約140億ドルの損失というシナリオが挙げられています。そのうち、 米国経済が永久に回復できない損失(いわゆる“取り戻せない”損失) を、 2025年ドル換算で 70〜140億ドル(US $7 billion – US $14 billion) と見積もっています。このように、CBOは「政府支出の停止による経済活動の遅延・停止」が一部取り返しのつかない経済的損失を生んでいると見ています。
2025年10月1日、財政年度 2026 年開始にあたって、連邦政府の歳出法案/継続決議案(continuing resolution)が議会を通らず、政府機関の資金が枯渇したため、部分的な閉鎖に至りました。
争点は、医療保険補助金(特に Affordable Care Act(通称:オバマケア)関連の税額控除・補助金)の延長を含まないものであったこと。これは、医療保険に加入していない人を減らすこと、中低所得者への補助金で保険料を下げること、差別的な加入拒否などを禁止が目的ですが、トランプ政権はこの制度を2025年末に終わらせようとしています。その影響は、低所得者の健康保険料が大幅に上昇するため、健康保険をやめるケースが増えると見込まれています。
2025年11月10日に、暫定歳出案が可決され政府機関は再開されましたが、オバマケアに関する問題は、解決していません。
2018年にも、トランプ政権は35日間の米国連邦政府機関の部分閉鎖をしています。この35日間の停止により 少なくとも110億ドル(US $11 billion) の経済的コストが生じたとされています。このうち、「永久に取り戻せない損失(永久的な生産・所得の減少)」については約 30億ドル(US $3 billion) と見積もられています。
2018年の政府機関の部分閉鎖原因は、トランプ大統領が、米国-メキシコ国境沿いの壁(“border wall”)建設のために 約 57 億ドル(US$5.7 billion) の連邦予算を要求しましたが、議会が反対しました。トランプ大統領は「壁資金無しの法案には署名しない」と主張したことで予算合意が成立しなかったためでした。メキシコ国境沿いの壁予算を、議会に承認させるために、アメリカ経済に110億ドルのダメージを与えたことになります。
