沖縄米軍基地1ヘクタール当たりの生産性、民間地の1/7
宜野湾市の米軍普天間飛行場の軍用地と、基地外の市内民間地の経済効果を比較すると、民間地の方が7倍高いとの試算結果を沖大・沖国大特別研究員の宮田裕氏が20日までに、まとめた。
2019年度の宜野湾市の基地関連歳入額44億2601万円と、地主に支払われた軍用地料76億3千万円を合わせ「基地関連収入」を120億5601万円と試算し、1ヘクタール当たりの収入を2071万円とした。これに比べて、沖縄県宜野湾市の1ヘクタールあたりの市内純総生産額は1億4579万円となり、7倍の差があった。
宮田氏は「基地関連収入は税金投入であり、経済活動によって生み出された『価値』ではないので生産誘発や雇用誘発、付加価値誘発の産業連関効果はもたらさない。乗数効果のある経済、貧困のない沖縄をつくらなければならない」とメディアにコメントしている。
経済効果NETでは、米軍基地からの経済的な恩恵を、プラスして検討し直した。
平成28年の沖縄県民総所得は4兆5303億円(沖縄県民経済計算)だった、このうち5.3%が基地関連収入の割合で、2401億円となる。平成28年の沖縄県の観光収入は6603億円(沖縄県入域観光統計)であった。
沖縄でコロナの感染拡大が長引き、国外は勿論国内の観光収入まで減少し、令和2年は258万3,600人と平成30年の25.8%まで減少し、観光収入は1705億年まで落ち込んだと試算される。この上基地収入の2401億円まで失ったら、沖縄県民総所得は18%減少し、3兆8000億円まで落ち込む。基地は更地で、返還される可能性が高いが、その広大な土地を開発する資金も出ない危険性もある。
また、基地が返還された後の土地に、宜野湾市同様の「街」を誕生させるには、同等の人口が必要となり、他府県から移住させるしか無い。宜野湾市の面積は1951ヘクタール。うち米軍基地が480ヘクタール。この比率で計算すると2万3000人の居住民が増加しないと、宮田氏の試算は成立しなくなる。
沖縄に米軍基地があることで大きな負担になっていることは間違いないが、返還すれば経済が良くなると推定するためには、もっと多くのデータを多面的に分析する必要がありそうだ。
▷沖縄振興開発及び沖縄振興の成果 (PDFファイル)