NYブロードウエイ 2020年3月12日から、2021年9月までコロナウイルスの為に完全閉鎖となった。アメリカ政府は9月になってブロードウエイの再開を許可。9月14日にはアンバサダー劇場で「CICAGO」が上映を開始。10月18-24日の週には26の劇場が上演を再開し、息を吹き返したと言える。
10/31までは、全ての観客、出演者およびスタッフにはワクチン摂取証明または陰性証明とマスクの着用が義務付けられているものの、劇場を満員にすることも、声を出して歌うことも出来る。日本の様にソーシャルディスタンスを保って声を出さずに、などの制約は無い。
多くの劇場が再開した10/24のアメリカに於ける新規感染者の7日間平均は72,664人、死亡者1,659人で、東京の人口に換算すると3,083人、70人となる。同じ事を日本で行ったら、メディアやネットは猛反対をするだろう。
再開した理由は、ブロードウエイの経済活動が大きいことだ。ブロードウエイだけで9万7000人の雇用があり、周辺の飲食店やお土産店などまで含めると20万人という報道もあるほどだ。コロナ閉鎖になる直前週で観客数は25万3000人。チケット売上は267万ドル(およそ3億円)だ。ブロードウエイ・リーグによると、ニューヨーク近隣のプロスポーツ10チームの合計よりも大きな収益を上げ、かつシーズンオフが無いことで、効率が非常にいいと分析している。
2018年から2019年までのシーズンは約2000億円もの売上があり、1週間に換算すると約39億円にもなる。PLAY BILLの発表によると、再開後ブロードウエイは、週に28億円程度で観客はまだまだ戻っていない様だ。この状態が続くと、赤字興行となり経済的な理由で上映を断念する劇場が出現するかもしれない。
経済効果NETでは2020年3月12日から2021年10月18日までの585日間に失われたブロードウエイミュージカルのチケット売上を推計し、それを基にニューヨーク州の観光データで使用し、経済波及効果を算出した。チケットと劇場内外の飲食などを含めると3950.6億円が直接効果となり、波及効果を含めると8770億円となった。ブロードウエイミュージカルは、前出の通り多くの雇用を生み出し、飲食以外にも様々な消費に繋がる傾向がある。
2021年10月はじめに、「アラジン」のワクチン摂取済の関係者から複数人の感染者が確認された。いわゆるブレイクスルー感染だ。これを受けて「アラジン」は12日間休演したが、その期間全ての関係者の隔離と検査を続け、全ての関係者がクリーンになったと公表した。このアラジンの事件から、ブロードウエイ全体でコロナウイルスへの対策が見直され、その後感染者は報告されていない。観客は全米から集まっているため、全てを追跡調査することは難しい上、観客から感染者が出ても、本人が申告することを躊躇するだろう。真実は不明だが、10月18日以降コロナウイルス感染者は報告されていない。
▷ブロードウエイミュージカル観客DATA(WEBサイト)