【皆既月食】15分間消灯による経済効果 3億5800万円

エネルギー/科学

皆既月食15分間消灯による経済効果
5月26日の夕方から宵にかけて皆既月食が起こり、日本の広い範囲で月食の過程の大部分が見られる。日本で皆既月食が見られるのは2018年7月以来、約3年ぶりだ。太陽の光を地球が遮り、月全体が日陰になってしまう「全皆既」は20時11分から26分の15分間だ。
この時間帯に、日本全国の家庭が照明のスイッチをオフにしたら。経済波及効果は35億8177万円になる(経済効果NET試算)。

計算方法は以下の通り。
まず、国勢調査の結果を基に、47都道府県の世帯数と、人数別の世帯数を確認する。次に資源エネルギー庁「都道府県別エネルギー消費統計」 2016年度確定値により、都道府県別の1世帯1月の電気消費量を算出する。ここでは計算しやすくするために1000kWhだと仮定しよう。

電気消費量は季節によって異なる、5月は冷房も暖房も使わなくても過ごせるため、比較的消費量が少ない。東京電力の月別電気消費量(2019)によると、5月は年間の7.55%だった。計算すると5月の電気使用量は906kWhになる。1日あたりの消費量は 906 ÷ 31 = 29.23kWhとなる。

家庭の電気使用量は時間帯によって大きく異る。朝の8時台が最も大きいが夜間も使用量が増加する。電気事業連合会調べによると20時台の使用量は1日の4.58%だった。
29.23 ✕ 4.58% = 1.3391となる。1.3391kWhの電力量が夜8時00分から8時59分までに消費される電気量だ。

皆既月食の時間の15分間家庭の照明のスイッチをオフにすると、1.3391 ÷ 4 = 0.3348kWhとなる。
しかしこの電気量は冷蔵庫や炊飯器、テレビなども含まれている可能性があるので、照明だけに絞り込む必要がある。日本エネルギー経済研究所「エネルギー・経済統計要覧2021」によると、家庭で消費される電力量の34.5%が照明関連であることが解る。0.3348 ✕ 34.5% = 0.115 kWhの電力量になる。

この電力量をお金に換算するわけだが、地域によって電力料金が異なる。最近では電力の自由化が進み、様々な電気事業者が存在する。そこで都道府県ごとの平均的な電気代金を、経済効果NETで独自計算した。30Aで月間300kWh使用した場合を基準として、各社の料金を確認。47都道府県の電力契約会社比率から、平均値を出した。北海道の場合は1kWhで31.1766円だったため、5月26日の20時11分から26分の15分間家庭内の全ての照明を切った場合10.437円の電気料金が節約できる。

これを都道府県の世帯数で乗じて、47都道府県の金額を合計すると2億1190万円になった。
一次波及効果1億590万円、二次波及効果4020万円を加算すると、3億5800万円になる。皆既日食を美しく観るために、家庭の電気を消してみてはどうだろう。

2021/5/26
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