LGBT差別 経済損失1兆1000億円(カリブ諸国)

政策/経済

ヴァージンアトランティック航空の支援を受けたOpenFor Businessという組織は、カリブ海におけるLGBT +インクルージョンの経済的事例と呼ばれ、注目を集めている。
英語圏のカリブ海の12か国でLGBT+の除外に関するデータを収集して分析。この地域ではGDPの2.1〜5.7%が、LGBTへの差別的な行為によって失われている。
第一に家庭内における排除だ。LGBTであることを家族にカミングアウトすると、一緒に生活するこを拒絶され、別居する事例が多い。
第二に就職における区別だ。フォーマル経済での高給の仕事に就く機会は極めて少なく、工場労働など、顧客に接することが無い職種、多くの人から信頼を集める必要がある管理職に就けることはほとんど無い。その結果同年齢でもLGBT+は、平均で11%所得が少なかった。
第三に、LGBT+への差別が残るカリブ海地域への、観光客の減少がある。この調査サンプルの60%が、LGBT+への差別が無くなれば、カリブ海地域への観光を希望すると回答している。

ドミニカ共和国、キューバ、ハイチ、ジャマイカ、トリニダード・トバゴ5カ国のGDP合計は2825億ドル。LGBT+への差別が無くなればGDPは110億ドル程度上昇すると考えられる。
1人あたりGDPが1703ドル(ハイチ)など貧困国にとっては、教育が不十分であること(識字率53%)、敬虔なカトリックが国民の80%を占めていることなどがあり、LGBT+への差別が経済成長のブレーキになっていると、国民レベルで考えにくい環境だ。
東京オリンピックでは「多様性」を認め「分断」を解消する社会に向けて多くのメッセージが発信された。スポーツのチカラが少しでも、LGBT+への差別緩和につながればいいのだが。

世界経済フォーラムWEBサイト(英文)

2021/8/8
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